我が世とぞ思ふ望月の

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「純麗大和幻綺譚 第陸章」に出展するもう一つの作品です。

間に合いました〜

これまでも度々モチーフにさせて頂いた永井路子先生の「この世をば」より藤原道長です。

小説を読んで感じたことを描こうとしたら、テーマは「権力者のふとした瞬間の虚しさ」になりました。

主人公道長に感情移入して読んでいたので、物凄い上から目線のテーマになりましたね。

一族の繁栄のために政権のバランス調整など色々と頑張るのですが、結局は娘が国母になれるかどうかで権力はすぐに移ろっていくという...

この虚しさは次に読んだ「望みしは何ぞ」でも描かれていて、とても印象的でした。

次からは「望みしは何ぞ」関連の絵が続くと思います。

 

この絵は、かの有名な「この世をばわが世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」を披露した宴会の後に、ほろ酔い機嫌でふらふら〜っと部屋に着き、そのまま窮屈そうな服を全部緩めて、側にあった脇息を枕に寝てしまった...という設定です。

貴族の邸宅を調べていたら、「類聚雑要抄」という素晴らしい史料がネットで無料公開されていました。

こちらをフル活用させて頂いて、背景に悪戦苦闘しながら何とか完成しました。

望月の月明かりに見えるでしょうか?

煌びやかだけどどこか不穏な感じが伝われば幸いです。